地図と蓄音機/
ただのみきや
が灰になるそれが歌であり血を旅するこの旗こそが女神の嘯き
虚空に斜塔の陰影を刻む者よ
鈴の海に沈むひとつの叫び娘の泥の肢体から気化した夢が抜けてゆく
ことばの神経網は水草の根にとって代わる無垢な口づけの
嵐が星を落とすふさがれている冷たい魚の口で脱がされた顔
時計は帰る死者の果肉を匂わせながら歯車を燃やす水族館として
爆ぜるサインが鎌首をもたげ渦巻く殻を恋い慕う
(2023年3月18日)
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