読むことのスリル──ひだかたけし小論(2)/朧月夜
 
も対象化出来ていないと気付いた詩は、基本、容赦なくデリします」と記されています。ここで、「対象化」というのは「客体化」ということでしょうか。あるいは別の意味があるのかもしれませんが……ここでは、深く探らないことにしましょう。「生まれながらの詩人」である氏にとって、読者はあって無きがものであるからです。
 フランスでは印象主義の時代、ドガという一人の画家がいました。ドガを印象派に含めるということには、いささかの議論も生じると思われますが、わたしがお伝えしたいことは、そういったことではありません。ドガはある時、ひとつの賭けを持ち出されました。それは、こういったものです。「明日までに、これこれの画家の
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