朝の光景(改訂)/ひだかたけし
静かに律動する、肉体
朝の冷気に覚醒する、意識
心はゆったり世界の像を映し出す
信号待ち、
赤ん坊を抱っこ紐で胸に支え
片手でスマホを操作する若い母親、
くっきりとした二重瞼が
陽光に映え浮き上がる
今、
わたしの視線は、
アイスコーヒーに浮かぶ
無数の砕氷を追いながら
瞑目する次の瞬間、
過去の瞬間と今の瞬間が重なり
時間軸が溶けてゆく
過ぎ行く時間の流れのなか
記憶は解体され
すべての過去が同時に剥き出される
肉体と意識と魂の静謐な統一、
今、眼前で砕氷が崩れる
今、眼前で二重瞼が輝く
すべて生々しい、現在の光景!
過去を今、生きる
今この一瞬に並置される、
すべての過去!
朝の光景に、
青い天空 私を包む。
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