桃/
平井容子
一睡もできなかった、朝
産毛はきんいろにひかって
ふっくらと水をたたえた丘に
まだかわかない涙のあとを見つける
そのときに思いしります
あまりに深かった穴と
その埋めかたについて
いまさいごのチャンスを得たこと
やわらかな肌に指先をよせて
そのとうとさを
二度とわすれないように
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