刺激のあるものが食いたいって誰もが思うけど/ホロウ・シカエルボク
て死ぬ
これでいいのかと思いながら
食い足りないと嘆きながらやがて死ぬ
幸せしながら死ぬ、そんなやつの話は
そんなやつの話はついぞ聞いたことがない
たぶん幸せなんてものは
宗教家と政治家がでっち上げた夢物語だ
真夜中に突然目が覚めたら
暗闇の中で
誰かが指を執拗に舐めていた
どれほど目を凝らしても姿は見えず
人なのか動物なのかも釈然としなかった
無視を決め込んで寝直そうとしたが
どうにも上手くいかなかった
どうしてこんな目にあうのかね
思わずため息をついたら
そいつは急に指を舐めるのをやめて
様子を窺うような気まずい沈黙を残して居なくなってしまった
朝に
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