私の名は、スタヴローギン! (2023年改訂版)/atsuchan69
まばゆい時間の 小刻みにゆれる青さ
珊瑚礁を覗かせて萌える 艶やかな森の木々
哀しみも知らず どこまでも陽気にうかぶ島々
歓びにあふれる光
しろい砂浜と椰子の木と影
涼しげな風、
美しい女奴隷や ワインとチーズ
いにしえの牧歌を口ずさむ碧緑の瞳の男娼たち
小指一本ほどの贅沢なくらし
ここはタクスヘブン 地球のどこか
薬と皆殺し すべての悪のもたらす対価の景色 そのもの
指先は ふるえながら、
針の痛みにつづく濃密な空気や 恐れ
滲みだす 底なしの虚無の力と気配に、
落ちてくる巨大な隕石 やがて
まぶたの裏側に容赦なく描きだされる 至高の瞬間、
もはや錯覚
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