擬似飛行/塔野夏子
 

遠くで円舞曲を踊る双子塔
霧が私を掠める

不定形の窓から
見えていた
観覧車からはぐれたゴンドラ

こぼれたのは
ゆらめき
狂いゆく平衡感覚
擦り切れた海がひろがる

探している
   見つけだすまでは
      決して何を探しているか
         わからない何かを

見え隠れするのは
   まだ私ではない
   もの

耳鳴りが去ったあとの静寂に
ゆっくりと浮かびあがる
言葉たちの透明な輪郭



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