夜想32/
ひだかたけし
あゝこの夜陰、
なんて白々
あかるい満月、
天に貼り付き
向かいの家の
橙灯りも点り
なぜか懐かしい心持ち
くるくる廻る氷音が
グラスに響き
微かに蠢きながら
遠い海鳴り 誘う、
この一時
あらゆる問い掛け
あらゆる懐疑
放棄して、
しずか しずかさ
今にたたずむ。
戻る
編
削
Point
(3)