ゲルトルート/坂本瞳子
 
気づくのがいつも遅い
薄紅色の花弁は
すでに開いていて
陽光に照らされ
暖かな空気を誘って
それはつまり
もうすでに
終わりを意味していたのに
気づかないふりをして
見ることを拒み
影に隠れて
足音を立てないように
さよならを告げるほど
強くはないから



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