Wake Up Dead Man/ホロウ・シカエルボク
 

通り過ぎたのは生温い風だった、不規則で断続的な眠りの中で疲弊した網膜は、在りもしない滑稽な幻覚を見ていた、十六時…関節のあちこちで氷河期のような軋みが聞こえ、まるで鉄の鎖で拘束されているかのような重さと気怠さが身体にはあった、きっと、その縛りを隙間なく絞めつけたのは、俺自身に起因する何かだったのだろう―空は雪の日のような曇り方をしていた、普通に考えれば、ここいらの地方で三月に雪が降ることなど考えられないだろう、けれど、俺はまだ四月に雪が降ったことがあるのを覚えていた、もう二十年以上前の話だ、だけど、この世界に絶対はない、人が何かを信じることには力が在ると言われる、だけどそう、そんな思いで例えば
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