照応/葉leaf
 
ばん最初でいちばん開けがたい窓を君はいみじくも開いたのだった。

手をタッチするとき、君の神経は確かに指の先端で息づいている。絵本に出てくる動物を指さすとき、君の神経は私たちの声を待つ受容体だ。私たちが絵本を持ってくるように言うと、君は全神経を駆動して絵本の方へ向かう。かつてきみはほとんど肉として生まれてきたが、今や君は肉の上に神経を張り巡らせている。

君の開いた窓を通して、君の神経と私たちの神経は交じり合う。君は私たちの鏡としてはあまりにも曇っている。だが鏡として私たちを映し始め、咀嚼し始めた。君と私たちは呼びあい、照らしあい、その呼応と照応の営みに鋭い快楽が潜んでいる。窓にはこちら側とあちら側がある。君はこれからたくさんのあちら側に出会っていく。そのたびに窓を発見し窓を開いていくということ。そこに冷厳な快楽の鉱脈がある。
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