ダンシング・フィンガーズ/まーつん
 
どたどしく抑える
人差し指はいつも、自分が主役だという顔をしている
5弦の2フレットを押さえるが、実は鳴らさない
1弦のレを押さえる中指と狭い空間を分け合って
この厄介なボジショニングを構成している
薬指は2弦のD、小指は4弦のF#
みんな、それぞれの役割がある

指板の上で踊る指
どんなに練習を重ねても
スポットライトには立てない

生きることを嫌う僕が
お前など、死んじまったらどうだ
と自分に毒づく僕が

スチールの弦をはじく
少しだけ空気を震わせてみる

時には、真夏でさえ冷たく感じられる
この世界の空気を

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