慶弔/あらい
『慶弔』
煤けた黒真珠の眼球がこちらを見ている。肋の浮いたヒトガタの中心から天地の様子まで あらゆるものが刳れたあと。旧式のマグマは ガタがきていたがそのほてりは保たれ ぬるい繭のような人肌を造りあげていたのだと、(彼は云う。)鈍重の刻と共に砂礫に還るよう屍毒を吸い上げる、成熟の祀りに
これは排泄物は雅な精気とじゃれ合い逢瀬を八重に咲かす、年輪を刻み風雪に耐えて、襤褸を出す。まったく不快感が逆流し汚物を撒き散らすようだ。その走馬灯は喀血と糞からできているのだろうよ。なあ、芯に火がつくと感情が溶け出したあとに残った私は何だ。今、シャボン玉はくるくると色を変え魅了して已まないものだったか
風が埃が土煙が砂塵が、なにごともなかった。若葉が揺れ、日も月もやわらかだった。大雨が降ったあとに、流れが干上がって、道ができていた。そこに行列をなして、征く逝く。とぼとぼと、大股で、跳ねるように。風が埃が土煙が砂塵が、かき消さんとするばかりに。草花が燃える、日も月もしじま そのものだった
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