いいかもしれない/為作
 
のね
遠くの
遠くの海を想いながら
落ち葉や木の枝の
先っぽを
季節がね
季節に見守られた
面河川の水を
眺めていたんだ
お兄ちゃんとお姉ちゃんにね
蛍を観に
家からまだ山の奥へ
連れていってもらった
星がね、星が夜空の色を
埋めてしまうくらい
びっしりと隙間なく
つぶつぶ
つぶつぶに
埋め尽くしていて
つぶつぶの星のせいでね
夜空の色がわからなかった
そんな夜
そんな夜空にね
蛍がふわっと
ふわっと灯ったと思ったら
すっと糸を引くように消えて
その蛍が
服についたり
ほかの蛍が
お姉ちゃんの鼻に止まったり
ゆっくりと点滅して
その蛍が
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