逃避ではなく殺害/ただのみきや
 
せ鏡のとらわれに
 いま小気味よく鋸を引くわたしはわたしの心臓を

奇形の過去を孕む
耳元をさすらう肉厚なまぼろしに縫い付けられた影
そこに敷物を広げてままごと遊びをしよう命がけの

互いの骸を持ち寄って火をつけて
煙を膝にのせてかわいがれば
現実とわたしは互いに首を絞めあう

棚から落ちる幸福が頭蓋を砕く朝に
記号のパースはバラバラでいい
所詮は時限爆弾の類ただ視線を透過させるだけの



                 (2023年2月4日)









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