かよう/やまうちあつし
 
足が言うことを聞かない

聖地に赴くはずが
とある浜辺に着いてしまった

あの日
地面は大きく揺れて
その日
夜空は異様に瞬いていた

おそらく
人がたくさん流されたからだ
それまで紡いできた
暮らしもろとも

心あるものは
言葉をなくす

あるいは笑うしかなかった
その笑いの意味に
私はたどりつけないだろう
一生

ゆっくり目を閉じる人がいる
まぶたの立てる音が聞こえるくらい
静かにしてくれないか

嘘も本当も
鳴りを潜めて

私には地図が要る
何度でも間違うために

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