雪の日の朝/
妻咲邦香
雪の日の朝
母屋の裏手のちょうど陰になった辺り
誰が訪れたのか
その道筋で
その深さで
大きさで
振れ幅で
その心に去来したものを
知る
驚きを、知る
ひもじさを、知る
戸惑いを、知る
憤りを、恐怖を
儚さを、逞しさを
知る
希望もあるかもしれない
あるといいなと
思う
決して立派とは言えない母屋の
その裏手
見つけた小さな足跡で
交わることのない営みを
知る
人間は恥ずかしい
こんなに大きな足跡だ
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