思考という力/ひだかたけし
 
凍てついた青、しろがねの空

放たれる声はふるえ

「おっかぁ、雪がふってきた」*

哀しみ、

この世界という残酷
引き受けた覚悟の前に

透過され澄み

静謐な思考という力、喉震わせ

再び放たれる声 静かさに浸され

「おっかぁ、ふんとに雪がふってきたなァ」*




ただ しろがねの空、凍てついた青












*深沢七郎『楢山節考』より


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