ナハティガル/ちぇりこ。
ドの中に
潜り込んでくる
星が うるさいの
と言って 背中をわたしに預けて
丸くなる
そんな夜は つるん とした
白く ぼわぼわと発光する
小さな繭のような妹の背中に
気づかれないよう
小さな星を埋葬する
小さな傷を小さくつけて
気づかれませんように
なんでもないよ
悲しいことは沢山あるよ
今夜は星が大人しいね
妹はわたしの膝の上に
ちょこんと座って
窓の外を見上げている
小さな傷が小さく点滅している
まるで蛍の印
わたしが そっと触れようとすると
小さな傷は一つずつ羽ばたいてゆく
どうしたの?
なんでもないよ
変なお姉ちゃん!
今夜 妹は星標ベになる
一番小さな星が
妹を連れてゆくのかも知れない
そんなおとぎ話を信じたい
無防備な夜の子
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