壊れてからがとても長い/ホロウ・シカエルボク
夕刻のうたた寝から目覚めようとするその時に限って、排水溝に流れ落ちていく水をずっと眺めてしまう、まだ単調な夢から目覚め切っていないのか、そこに流れ落ちていく水の方が実は俺自身なのではないか、なんて考えてしまうのだ、排水溝に流れ落ちる最期というのはなかなかいいかもしれない、誰を悲しませることもないし、わざとらしい葬儀で居心地の悪い思いをしながら成仏しなくて済む、顔を拭くと少しマシになった気がした、少しストレッチをして、無理な姿勢で強張った身体をほぐした、たとえアスリートでなくたって、コンディションは整えておいたほうがいい、スプリントよりもこたえる現実なんて腐るほどある、しかも、ランナーほど評価される
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)