壊れてからがとても長い/ホロウ・シカエルボク
ぜ、仕事中にライドンの声が聞こえることが、昔は凄く嫌だった、でもいまはなんだか、愉快な気分になる、それはきっと俺はそこそこ上手く歳を取ることが出来たということなのだろう、その夜最後のネジを止めた途端に睡魔はやってくる、だから俺は仕事場から歩いて一〇分程度のところに越した、帰り道で居眠り運転などしないようにだ、本能に逆らう眠りにはメリハリがない、どんなに寝具に金をかけてもだ、どんなに分厚い遮光カーテンを窓に垂らそうとだ…帰宅してシャワーを浴び、歯を磨いて横になるとすでに、俺はカタコンベの入口に立っている、死体か、と俺は呟く、そうして思い出すのだ、アンティーク・ショップで高値で売られていた、時刻を表示しない時計のことを。
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