ジムノペティの雨/soft_machine
この雨
歩きたい
傘はいらない
にっこり手をふる籠の中の幼児に
降りかかる
こっそり再会を約束してはやぶり
みわたす限りの氷原は
サティがあたためた
灰いろに溶け出してゆく暗い線
そのもの
ジムノペティ
共に浮かびたい
友の頭骨をしずかに洗う
汗をにぎり締め
泡のひとつぶ
不安定な音価
憧れが体験を分類し
皮膚をすり抜ける疑いは
海の記憶だけが支え
耳なりのする方
傷つけたらしい誰かの問
霧が風に変わる頃
見覚えのある雲が来た
どうやら明日もこの様子なら
そろそろ
受け入れなくてはいけないのかも知れない
冬なのにあたたかい、雨
君からの細音
別れに応える雨
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