母の背中/ベンジャミン
ずめていた
(泣いている)
もう何度目だろうか
僕は
母の背中をさすりながら
泣くな
泣くなと言い続ける
母は
ただただ泣き続ける
僕は
さすっていた手でそっと肩をもむ
(泣いている)
小さな部屋に似合う
小さな二人がいる
こんなにも似ているのに
母の背中は
どうしょうもなく小さ過ぎる
(知っている)
分かり合えていないわけではない
受け止めきれないことが
誰にだってあるのだ
一人分の食事を
母は
作り続け
僕は
食べ続ける
そして口論を繰り返しながら
こうして
たまに肩をもんであげる
(知っている)
そんな今日が
母の日だということも
僕は
とても感謝している
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