決 着/SE2
窓から射し込む西日を浴びて黄色に染まった部屋の角に座っていた
頭の中を列車が走っていく
窓のない黒い列車だ
もう戻ることは出来ないだろう
列車に揺られながら少年はそう思った
時は流れ、いつか彼は60歳半ばを過ぎた初老の人となっていた
確かに列車は戻ることは出来なかった
だが終点に着くこともなかった
そして外の風景も心の中も、あの当時と同じものではなかった
あれからどうやって此処まで来たのか
引き寄せられるように考えている
元々列車に乗らない道があったのではないか
そのためには自分に不足していたものがあったのではないか
何故それに気づくことが出来なかったのか
いや、それしかなかったのだ
批判する自分と擁護しようとする自分が交互に声をかけてくる
最後は何時も堂々巡りだ
決着のつかない思いを抱えて生き続けることが人生の定めというものだと
落とし込んでみる
そして起き上がりカーテンを開け、薬缶に水を入れ、お湯を沸かし、急須に茶葉を入れ、
お湯を注ぎ、湯呑みに移し、手を伸ばし持ち上げて
お茶を飲んでいる
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