このしずかにふかまる夜に/ひだかたけし
とてもしずかな夜です
そう感じ取る、
波立たない平静な意識があります
疼痛もしすがに続き
布団のなか、氷を噛み砕き
疼く肉に少しばかり耐えながら
真っ直ぐ進む時間という存在、
今はそのまま受け容れ
過ぎゆく今年を過ごします
そして相変わらず
波立たない平静な意識の持続に、
この白い小部屋にて
見えるもの在るもの
意味以前の生々しさに浮き立ち、
ただそこにある のです
そしてわたしもいつしか、
わたしの異邦人になって
わたしのその感受を
じっと見つめている
街にどこかから除夜の鐘、幽かに響き
まもなく新しい年が来るのでしょう
まもなく新しい年が開かれるのでしょう
このしずかにふかまる夜に、
この波立たない平静な意識に、
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