自由形のパレード/ホロウ・シカエルボク
 

サーカスが過ぎ去った後で、俺の網膜に刻まれた鮮やかな灯りの記憶、操り人形の、唯一糸のいうことをきかない、閉じて固まった指先の―指し示す空虚、薄れてゆく黄昏の中に目まぐるしいばかりの、消化出来ない過去が絡み合っていた、俺はイヤホンのコードを解きながら、アトランティスの壁に眠る落書きの夢を見ていたんだ、きっとそうさ…夜は陰鬱な詩ばかりを連れて来る、俺はそいつらをブランケットのように身に纏って移り行く現実を見ている、確かなものだけがリアルなら、こんな時間のすべては夢だとでも?デジタル時計は時を刻まない、だから嘘をついているような気がする、生身の身体はいつだって、僅かな振動や変化によって現実を飲み込ん
[次のページ]
戻る   Point(1)