ペガッサ星人(ウルトラセブン)/角田寿星
祖母の家はルピナスだった
そして今
母の庭にはハナニラが咲き誇っている
手応えのない薄い葉を握りしめ
外来の雑草の顔立ちの良さに
草刈りの手を ふと止めて
仏壇に手を合わせ言葉を交わす あるいは
言葉を交わすつもりで話しかける
使う人の居なくなった鏡台に腰かけて
髪をゆっくり掻き上げた腕の向こうに
手をひろげたヒラメさんが立っていた
ヒラメさんとの
しずかな生活が
はじまった
他愛のない話をした
絶えてしまった集落や鉄道
崩落したまま修繕されないトンネルの話
滅びゆく または滅んでしまった種族
隣の犬がまた
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