バラス山/ちぇりこ。
止のロープは
やる気なく弛緩して
だらりと地面についている
儀式の始まりは
爆竹20連発で
ぼくらには持て余す
ありったけの火薬でも
発破の音には届かない
どんなに火をつけても
届かない
ひょろ長い救世主に
鋼鉄の影絵に
夏の終わりに
爆竹が
ささやかな火花を散らすだけ
動かないベルトコンベアの上に寝転んで
雲と雲の隙間にぽっかりと
置き去りにされた青を見る
やがて雲に覆われて
雨の匂いを運んでくるんだ
泣いてる暇なんてないぼくたちの
毎日はぶっ太いベルトコンベアで
次々と運ばれて
運ばれた先で掘削されて
そうやって
何かを少しづつバラしながら
暮らしてゆくのだろう
いつかは止まってしまう
ベルトコンベアの上で
暮らしているのだとしても
ぼくたちは
ありったけの火薬を持って
あの山の入口に立つ
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