声にならない声/もこもこわたあめ
声にならない声を空に向かって話し掛けてみる
「すべてを語るには早すぎる、僕らは近づきすぎた。
うん、そう。別れようとは言わない。言えない。
どうして、か。それは君が好きだから偽りたくないだけだから・・・。」
嘲笑を浮かべながら僕は続ける
「すべてを語ることが正しいとは限らないと思うんだ。
ううん、それは教えられないよ。心を壊されたとしても・・・ね」
君は怪訝な顔をして・・・僕を悲しげに見つめる
(僕は多分もうそんなに長くない。結構心も体も無理をさせてるから
いつか壊れてしまうだろう)
ゆっくりと地上に視線を戻して歩き始める
やけに冷たい向かい風に背筋を伸ばして
小さく笑みを浮かべて
・・・・・君に幸あれ・・・・・
20050507
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