砂漠/暗合
 
 僕はずっと砂漠を歩いていた。千里先まで何も僕の前には現れなかった。ただ一本の地平線が、永遠に僕の腕の届かないところで、揺らいでいた。

 均質的な風景は遠近感を麻痺させる。世界と僕の間には、傷ついた硝子が存在していて、正確に物事を捉えることなど出来やしない。全てが僕の前から、去っていく。ただ全てが交じりあった一つの光だけが、僕に残った、最後の真実。

戻る   Point(1)