寝返り/
たもつ
深夜、兄がやってきて
透明な言葉を吐いた
ご飯を食べるように
一粒一粒吐いていた
寝床を整えてあげると
几帳面に身体を納めた
兄は二十八歳で製薬会社に就職し
寝返りをうった
もういいよ、と伝えたけれど
その後も何度か寝返りをうった
朝は食事もとらずに帰って行った
かわりに白く雪が降った
戻る
編
削
Point
(4)