「その瞬間に向かって」/ジム・プリマス
 
地の時代の闇が世界を覆っている
飢えて寒く凍える肉体と精神
厚い雲に遮られて
天球の恒星の光すら届かない
暗くて闇に慣れた目でも
自分の手のひらさえ見えない

さっきから聞こえるのは
子供がすすり泣く声
傍らに寄り添うことも出来ない
この闇は永遠に続くのか
諦めが精神に広がる
砂を噛むような焦燥感に
精神が乾いて凍てついてゆく

だが諦めてはいない
俺にはただ一つだけ残された
確信がある
風の時代は必ず訪れる
夜明け前が最も暗い
現在は風の時代の黎明だ

闇は解け
紫の雲がたなびき
やがて黄金色の朝日が
その閃光が射すだろう
その時、再び身体は
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