甕/まーつん
結局、生きるしかないのだ
という諦めの言葉が
泡となって水面に浮かび、弾けた。
そう、言葉はいつも弾けて
行方知れずになる
かつては
胸の奥の熱い火が
水のような心を沸かせた
沢山の言葉は
泡となって湧いてくる
湧きたつ心の奥底から立ち昇り
水面に弾けて消えていく
その言葉のすべてを
覚えている訳じゃない
その時自分が、なにを願い
未来の自分に、なにを約束したか
その多くを、後になると
忘れてしまった
それは
目の前で、踊るように移り変わる
色や形に気をとられてか
あるいは
言葉が導く先にある
明るい場所が、怖かったからか
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