柔らかな硝子/暗合
胃の中の血が身体中の肉に溶けていくのを感じる。
差し伸べられた手に俺は噛み付いた。
噛みちぎられた指を俺はかまずに呑み込む。
指は食道に引っかかって、俺はひどい痛みを感じる。
しかし指が胃におさまるのと同時に、空腹は少しましになる。
そして俺は顔を上げる。
彼女は俺の方を見て笑っている。
ちぎれた血まみれの右手をぶら下げて、彼女は笑い、俺を軽蔑する。
俺はなんとか弁明しようとする。
しかし口が動かない。
俺の目には涙が浮かんでいるが、
俺の舌は頬に付いている血を美味そうに舐めている。
彼女の右手からは
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