ありふれた日常と見たことのない世界/千月 話子
 
使い古された洗濯機から
排水ホースが引き抜かれた
水曜日の朝

子鬼だろうか
幽霊だろうか
革命 だろうか?

色落ちした青いシャツ
引き裂かれたピンクのハンカチ
絡まった男女の下着など
取り散らかっておりました。




薄汚れた水浸しの白い花薫る洗濯室で
行き場を失くした激流が
右往左往 している。

すぐ目の前の
果てしなく遠い 遠い世界を
呆然と見つめる 家人

一体ここは、どこなのだろうか・・・
記憶に無い 世界 世界 風景




目を閉じて、溜まった花の蜜を掬おう
美しい匂いだけを辿りながら

敷き詰められたタオルの
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