歓喜の歌から逃げだして/ただのみきや
 
に狂って花梨の禍
おすそ分けにはぬるくて甘い
ひしゃげた亀の目じりから
ガスに抱かれて
     傷も降る星





「つ」

回らない呂律で羅列して
望まない孤立で破滅する
繰り返す規律の締め付けに
驚きの比率で始末され
精神の供物は焦げ付いた
古臭い理屈に帰結する
甲斐もなく秘密は自滅した
偶然の季節のイラつきと
突然の吐血にまごついて
今日もまた卑屈に差別する
たましいの資質を射出して





事故

湿った雪に奪われて
飲みかけのまま置き去りにされた
遡れない涙の軌跡

あの夏の
日陰の目蓋に憩っていた
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