歓喜の歌から逃げだして/ただのみきや
空白葬
空白を肥やそうか
みかんを剥くみたいに
あの赤裸々な寡黙
仰け反って天を食む
ことばの幼虫
インクのように膨らんでゆく影
化石は顔を残せないから
ハンマーで殴っても
付箋すら見つけられず
空白に埋葬される
きみは板前みたい
琥珀に波紋を起こすほど
純粋な暴力を欲しながら
またもや宙吊りの刑
腹ぺこだって覚悟したのに
後悔より高速
背中を踏んで
咬んでは食んで
グギギギーっと
釘もそぞろに
蒸(む)すんで飛来(ひらい)て窓(まど)ろんで
こけつまろびつ飛び込んだ
彼・彼女の虚構
よいお庭ですね
脛あおく
狂いに狂
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