やさしい涙/秋葉竹
 

スイレンの
花びらそよぐ細い声
夜を徹してなくひとのこえ

残りゆく
季節の色にいまだけは
むらさきいろに染まれ黄昏

まっすぐに
真っ赤な薔薇を好きと云う
ほどの豪奢なこころになりたい

階段に
転がる蝉の骸たち
わたしはちゃんと生きれていますか

できるなら
空がこぼした瞬間の
涙みたいなうたうたいたい

その胸の
ど真ん中にはだれが住み
だから清(す)んでいるというのか

真っ芯の
疾しい嘘を暴き立て
嘲笑(わら)うな嘘でもやさしい涙だ

花びらの
ただ音も無く散るさまが
胸の泉に落ちる、ひらひら







戻る   Point(2)