過ぎて行く/ヤギ
チョークの淵を遊ぶ子
意味のない歌を歌う
それはそれは怖ろしい歌
それは 怖ろしい歌
ひとつだけ覚えている言葉
「真昼の月を描きなさい
力は要りません
知恵も要りません
感性さえも要りません
ただ自分を信じなさい」
過ぎ去った盲人を
その人は呟くように言った
「そんなものは何時か終わってしまうでしょう
それが同じことだと知っている限り
愛されることも憎まれることも変わりはないのよ
愛することも憎むことも ただ過ぎて行くだけ」
「違うよ」
と二度繰り返した
雨の日が好きだ
みんな濡れて行くから
透ければいい
音も消えて行く
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