詩の日めくり 二〇二一年十三月一日─三十一日/田中宏輔
 
二〇二一年十三月一日 「断章」


 ジョンは五千人程の男女の中に見えなくなった──。誰も彼もが灰色のヴェールを被っている──、凍って粉々になった残骸は?意識?と呼ばれ、人々の中に動かしがたい様相を呈して来た──。
(ウィリアム・バロウズ『ノヴァ急報』中国人の洗濯屋、諏訪 優訳)


二〇二一年十三月二日 「断章」


 二つの生命体が昆虫人間の恐ろしい乾燥熱から脱がれようと地殻の割れ目に入りこんだ──。暗殺者は、葬送のシンフォニーを笑いを浮べて聴き、氷のように冷たい狂気の大馬鹿者の足をひたすら待っているのだ──。存在する為に、彼は動物園の中で捕えられたのだ──。檻はうなりを上
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