人生が始まる/葉leaf
 



でたらめで、バラバラで、どこからでも飛んできて、どこへでも飛んでいく、そんな君だったけれど、君を構成する粒子は少しずつ君自身の色を帯びるようになってきた。

めちゃくちゃで、ぐにゃぐにゃで、何でも通り抜け、何でも食べてしまう、そんな君だったけれど、君の発する光は少しずつ一筋の流れとして集合するようになった。

君は気に入らないテレビ番組に大声を出す。君は気に入らない離乳食を食べない。世界でたった一つの君自身というものが少しずつ君を主張するようになった。

これまで君に時間はあったが人生はなかった。これまで君に名前はあったが個性はなかった。だが君は固有の君自身として一人前の人生を少しずつ歩み始めている。

ママとぴったりくっついていた君が、少しずつママから離れだした。まだまだでたらめでめちゃくちゃだけれど、君は確かに君自身の人生を創り出している。

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