それもまたひとつの装置/ただのみきや
人々の怒りが寄せ集まって流れをつくり
そんな流れがより合さってひとつの川となる
すぐにも氾濫しそうなすべてを押し流す勢い
なにもかも飲み込んで
旧態依然とした世の中を変えてしまうのか
だがやがて河口に至り 海へと流れ出して
ウソのように感情の圧力は低下する
揺蕩う時間と情報の波でくりかえし削り磨かれて
だんだんと鋭利さを失くしてゆく
やがては地理的歴史的に相対化され
数多ある砂粒のひとつと化してゆく
ある程度吐き出すことができた感情は
日常という揺り籠であやされながら
無意識にそのしこりを弄っている
幼子のマスタベーションのように
集合意識の満員電車ですし詰めになっ
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