羽化/
鈴木ぽろ
空のうえで点滅してる 赤 あお 白 のテントウムシは
とても小さな機械だから
あやつられて綺麗な夢を見るたびに
ポストに絵本を返していた お母さんのベッド
さびしい 思い出
笑い合えた すべての瞬間が
アルバムになっても きっといつか 捨ててしまう
死んでいく人はみんな 綺麗に消えていく、と思っていた幼い日
心と背中の間にあるもの 知らなかった
どうして あんなに 飛びたかったの
小さな羽化を 優しく待っていてくれる世界から
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