詩の日めくり 二〇二一年十月一日─三十一日/田中宏輔
月十二日 「飛ぶことのできた男」
16作目は、カレル・チャペックの「飛ぶことのできた男」夢で飛ぶことのできた男が、現実でもやってみると、空を飛ぶことができた。専門家に見せると、手の位置がおかしいとか姿勢について注意される。その言葉通りに従っているうちに、空を飛ぶことができなくなるというお話。
17作目は、ヨゼフ・ネスヴァドバの「クセーネミュンデの精薄児」精薄児がひとりいた。言葉はひとつづりも書けなかったが、数字については何でも憶えた。父親がロケット技術者だった。父親もできなかったことを精薄児はした。目標にロケットをあてたのである。自作の小さなロケットを。
二〇二一年十
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