赤いスニーカー/小原あき
 
私はきみを見つけられない
運動会で
通学路で
秋の遠足で
みんなおんなじ格好
赤いスニーカーだけが目印

毎朝、玄関で
ギーギー鳴らして靴紐をしめる
ダイヤル式のスニーカー
みんなが持ってて
やっと手に入れたスニーカー
赤い色はお父さんとおんなじ

行ってきます、で
きみの世界は
私の知らないところにも広がっていく
私の知らない世界のきみは
私の知らないきみだ

赤いスニーカーだけが
私にきみを
知らせてくれる





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