夜のうた/秋葉竹
心からの憐れみを
僕の首すじに当ててください
その湿っぽいやさしさを
信じることが
歩くように生きることだと想うから
街は嫌なことなんか
なかったと云い張る
崩れおち、ひれ伏した小さな白い花が
かつて
凛、
と立っていた記憶とか
それは清貧の心より
より優れていた佇みだったのかもしれない
夜の涙が
ポロポロとこぼれ落ちる
明るい満月の瞳から
それは、きっと
水に溶けかけたむかしの想い出の
やさしい話を聴いてしまったからだろう
夜は寒い
夜は長い
夜は涙が出てしまう
空から逃げられない夢はいつまでも
無理をしてわらってい
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