嘘つきな月/秋葉竹
 

とても嫌なことがあったもしても
その荊で引っ掻かれた傷を
忘れられなくても、いいんだ、よ

そうだったろ?
あのとき感じた
辛さも、痛みも、いつか、いつかは
薄まってゆくものなんだ、から、ね

夜空に突き刺さり
時を止める
嘘月が
ただやさしい嘘つきで
あってくれたことが
たまらなく
ありがたくって
永遠の
嘘をつきつづけてほしいと
願ってしまうのだ

敬虔みたいに
両手を合わせて
祈ってしまうのだ






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