おもいでは煌めく/松 けい子
 
こどもの頃のことは
よく覚えている

川で泳いでいたこと
田んぼの畦道を通って
学校へ通ったこと

自転車に乗って
町の高校へ通ったこと

一番懐かしく思い出すのは
西宮の浜甲子園に居たこと

一年後甲子園球場の前の
アパートへ越したこと

わずか一年と一学期だった
都会の学校の思い出は
忘れることができない

ずっとずっと夢に出て来た
堤防の向こうに広がる
浜甲子園の遠浅の海

下校後は母が帰るまで
浜で貝を拾って遊んだ
夏には海水浴場となり
ぶらんこや出店もできた


外人さんが近づいて
Can you speak English?
と言ったとき、

母が教えた英語たった一つ
アイ キャン ノット スピーク イングリッシュ
と答えた

ずっとあの地で過ごせたら
どんなに楽しい学校生活だったろう

なぜ母は私を田舎の学校へ戻したのだろう
そして母は私をひとりにしたのだろうか
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