詩の日めくり 二〇二一年六月一日─三十一日/田中宏輔
 
く憶えていなかったので、もう一度、この『ロシア・ソビエトSF傑作集』の下巻で読み直そうと思う。叙述がユーモアたっぷりなので、読んでて楽しい。動物学の教授が主人公。蛙の卵にあてた赤色の光線が、卵の繁殖力を驚異的なものにした。一方、ソビエトの鶏が病気になり、卵が孵らなくなってしまった。そこで、鶏の卵に、この赤色の光線をあてて雛を孵そうとしたのだが、届けられた卵はアナコンダの卵だったのである。10メートルのアナコンダ。そこに鰐も異常な繁殖力をもって、ひとびとを襲ったのであった。軍隊も出動したが、人民に多大な被害をもたらせるばかりであった。ひとびとは教授のせいだと言って、大学の研究所を襲い、教授を殺した。
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