詩の日めくり 二〇二一年六月一日─三十一日/田中宏輔
 
ばらくすると、バイキングだとかいろんな人間が襲いかかってくるが、攻勢に出るとみんな逃げ去る。ひとりの女が出現する。この世界をつくったのは、わたしだという。手を出そうとすると、拒絶する。愛しているわと言ったのに。逃げ去る女。追いかけたが、消えてしまっていた。女は、主人公が高校生のときの同級生の醜い女だった。一度だけ、やさしく接したことがあるだけだった。

 10作目は、アーシュラ・k・ル=グィンの「革命前夜」72歳の老婆が主人公。若いときは革命運動家。偉大な書物の著述家でもある。いまも彼女のもとに訪ねてくる学生たちがいる。いまも各地では蜂起も辞さじという状態だ。スピーチをしてくれるようにも頼まれ
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